相続登記を法務局に申請する際、登記申請書以外に、登記申請人が相続により不動産を取得した事実を証明するための書類を提出する必要があります。以下は、相続登記の際に必要となる一般的な書類です。

《法定相続分により相続人全員の名義とする相続登記する場合》

① 被相続人(亡くなった人)の子供が生まれる可能性のある年齢から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍

② 兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の両親に子が生まれる可能性のある年齢から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍

③ 被相続人の登記簿記載住所から最後の住所まで変遷、沿革(つながり)の付く戸籍の附票または住民票の除票

④ 相続人の戸籍抄本

⑤ 相続人の住民票

⑥ 固定資産税の評価証明書(申請する年度のもの)

【法定相続情報一覧図がある場合】

 住所の記載のある法定相続情報一覧図があれば、①②④⑤は省略することができます。

 ③は登記簿記載住所と法定相続情報一覧図に記載された被相続人の最後の住所が同じである場合は省略することができます。

【戸籍謄本について】

 戸籍謄本等は、法改正によりに何度か改製(様式変更)されており、本籍地が変わっていなくても、複数通あることが通常です。また、転籍や婚姻等で異なる市町村に本籍地が変わっている場合は、市町村ごとに発行された戸籍謄本等が必要になります。

 戸籍謄本は、被相続人の死亡した事実及び相続人の確認のために必要とされており、子が第1順位の相続人となるため、「被相続人に子が生まれる可能性がある年齢」まで遡ったものが必要となります。

【「被相続人に子が生まれる可能性がある年齢」とは】

 登記研究149号では以下のような見解が示されています。

「(原則的には)相続人の身分を証する書面として、被相続人が15、6歳の時代からの事項の記載がある戸籍及び除籍の謄本が必要」

この登記研究によれば、15歳以降の戸籍謄本等があれば足りるとされていますが、もう少し若い年齢でも、被相続人に子が生まれている可能性があるでしょう。実務上、何歳以降とは決まっていませんが、戸籍謄本等が必要とされる意味から考えて12歳程度からのものが必要と言えるでしょう。

なお、金融機関の手続きでは、出生からのものが求められることが多いようです。

《遺産分割協議により法定相続分とは異なる割合で相続登記をする場合》

上記の法定相続分による場合の①~⑥の書類に加え、下記の書類が必要となります。

⑦ 遺産分割協議書(相続人全員が実印で捺印したもの)

⑧ 相続人全員の印鑑証明書

【印鑑証明書について】

 ⑧の印鑑証明書は、登記手続き上、不動産を取得する相続人のものは不要とされています。ただし、預貯金等の相続財産が含まれている場合は、金融機関の手続きをする際に相続人全員の印鑑証明書の提出が必要になります。

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