遺産相続
遺産を相続するとは
遺産相続とは、亡くなった方が遺した財産(遺産)を相続人が承継することです。
遺産というと、「金融資産(現金・預貯金・有価証券)」や「不動産(土地・建物)」、「動産(自動車・家財道具)」などの財産(プラスの財産)だけをイメージされる方が多いのですが、実は借金やクレジットカードの支払い、連帯保証人になっているなどの「債務」も財産(マイナスの財産)に含まれます。
マイナス財産がプラス財産を上回るような遺産相続の場合には、相続放棄の検討も必要になるかもしれませんので、まずは遺産の内容をしっかり確認することが大切です。
また、遺産相続はやらなければならないことが多岐にわたり、その手続きは煩雑です。少しでもスムーズに、トラブルなく遺産相続を完結させるには「遺産相続の流れ」を理解し、遺産の内容をしっかりと把握することがとても重要です。
遺産相続の流れ
全体の流れは以下の図になります。
- ※1相続開始から3ヶ月以内
- ※2相続開始から10ヶ月以内
わかりやすく動画にまとめておりますので、詳しくは動画をご覧ください。
相続人になる人
亡くなった方の財産は、遺言書がない場合には、その親族の中から「相続人」が承継することになります。親族であれば当然に相続人となる訳ではありません。
財産を分けるための遺産分割協議は、「相続人」全員でこれをしなければならないため、誰がそれに参加しなければならないのか(誰の印鑑を必要とするのか)を正しく知っておくことが重要です。
ここでは、相続が発生したとき、だれが相続人になるのか動画で詳しく説明いたします。
財産の調査方法
プラス財産とマイナス財産
プラスの財産の種類
現金・預貯金・有価証券などの「金融資産」や土地・建物などの「不動産」、自動車・家財道具などの「動産」がプラス財産のメインになります。また、厳密に言うと相続財産ではありませんが「生命保険」も相続の際に確認しておく財産になります。一般的な調査方法は次のとおりとなります。
金融資産(預貯金)
請求するもの | 残高証明書 |
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請求の目的 |
銀行に存在する口座と相続開始時の残高を確認するため。 なお、その金融機関内に知らない口座・お取引がないかも確認することができます。 |
請求先 | 各銀行窓口 |
一般的な必要書類 |
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金融資産(有価証券)
請求するもの | 残高証明書 |
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請求の目的 |
証券会社に存在する口座と相続開始時の残高を確認するため。 また有価証券の内訳(保有銘柄など)も確認することができます。 |
請求先 | 各証券会社窓口 |
一般的な必要書類 |
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※亡くなった方が株式をお持ちだった場合には、各信託銀行の証券代行部で亡くなった方が受け取れていない配当金の有無や端株の有無を確認することができます。
不動産
請求するもの | 不動産の登記事項証明書、名寄帳 |
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請求の目的 |
「不動産の登記事項証明書」では亡くなられた方が所有していた不動産の詳細を確認することができます。 「名寄帳」を請求することで亡くなられた名義の不動産が固定資産登録台帳にどれだけ登録されているのかを確認できるので、把握していない不動産がないかを確認することができます。また、固定資産の評価額も確認することができます。 |
請求先 |
不動産の登記事項証明書:管轄の法務局 なお、登記情報提供サービスを利用してインターネットから取得することもできます。 名寄帳:管轄の市区町村役場の固定資産税課 |
一般的な必要書類 |
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動産
動産については特別の調査は必要ありませんが、自動車や宝石、骨とう品、絵画といった高価な動産がある場合には
査定を受けておくと良いかもしれません。
生命保険
請求するもの | 保険契約についての内容照会 |
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請求の目的 |
亡くなられた方が契約していた保険がどういった内容だったかを確認することができます。 また、把握していない保険契約がないかも確認することができます。 |
請求先 |
各保険会社 なお、生命保険契約照会制度を使って契約の有無を一括照会することもできます。 |
一般的な必要書類 |
各保険会社への内容照会は、相続人からお電話いただくと、回答書を発送していただけます。(詳しくは各保険会社へご確認ください。) 生命保険契約照会制度をご利用の場合は、HPで必要書類をご確認いただくか下記までお問い合わせください。 03-3286-2648(生命保険相談所) |
マイナスの財産の確認
遺産相続においてみなさんの多くが気にされるのは、亡くなった方の借金など債務(マイナスの財産)の存在です。
マイナス財産は把握が難しいにもかかわらず、その存在に気付かず遺産相続してしまうと返済義務を負ってしまう可能性があります。何か気になることがある場合にはしっかりと確認しておくことが重要です。下記の方法で照会をかけておくことで債務の存在をおおまかですが掴むことができます。
金融機関等からの借り入れ
請求するもの | 信用情報開示報告書 |
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請求の目的 | 亡くなられた方の借り入れ(各信用会社に登録されている金融機関等の情報に限る)についての内容や支払い状況を確認することができます。 |
請求先 | 各信用会社 |
一般的な必要書類 | 各信用会社のHPをご確認ください。 |
特別な事情がある場合には
相続人に
①行方不明 ②認知症・障害者 ③外国籍などの
特別事情がある場合にはどうするか
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①行方不明の相続人がいる場合
遺産の分け方についての合意内容を文書にまとめ、各相続人が署名捺印したものを「遺産分割協議書」と言います。亡くなった方の財産を相続するためには、「遺産分割協議書」に相続人全員が署名捺印をする必要があります。
相続人のなかに行方不明の人や音信不通の人がいる場合は、遺産分割協議をすることができないため手続きを進めることができません。その場合「失踪宣告」か「不在者財産管理人の選任申立」の制度を利用して手続きを進めることになります。どちらの制度を利用するかは、行方不明・音信不通の経緯により判断していくことになります。 -
②認知症、知的・精神障害者の相続人がいる場合
遺産分割協議にあたり、相続人の中に、認知症の方や、知的・精神障害により判断能力に問題のある方がいる場合には、成年後見制度の利用の検討が必要になります。
判断能力が不十分な方が行った遺産分割協議は、無効や後日取り消しの対象となる可能性がありますので、家庭裁判所へ後見人等の選任申立をし、本人に代わって後見人による遺産分割協議を行う必要があります。 -
③日本に戸籍のない方が相続人の場合
外国人や日本国籍を喪失した人にも当然相続権があり、遺産分割協議をする場合には日本人と同様となります。
ただし、そのような方は相続手続きに必要となる戸籍、住民票や印鑑証明書を準備することができないため、その代わりとなる書類を取得しなければなりません。
例えば、韓国のように戸籍制度がある国では、本国から戸籍証明書を取り寄せ、これを日本語へ翻訳して手続きに使用することになります。
逆に戸籍制度のない国であれば、戸籍に代わる書類として本国の公証人が作成した「宣誓供述書」などの公的書類を用意するなど、便宜その国の制度に則った戸籍等の代わりとなる公的書類を準備して対応することになります。
報酬について
- 遺産整理
- 20万円~(実費や出張費は別途発生します。)
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